先日発売した、スロヴァキア出身のイラストレーター、
Daniela Olejnikova(ダニエラ・オレイニーコヴァー)のハンカチと
8月に発売予定のMatúš Maťátko(マトゥーシュ・マチャートコ)のハンカチの
コーディネートを担当してくださったswimmie銀座店のスタッフに、
スロヴァキアで過ごしていた頃のお話や作家さんのことを色々お伺いしました。

—スロヴァキアに行こうと思ったきっかけはなんですか?

岩手大学で版画を勉強していた頃、
一度外国で勉強をしてみたいな、と思う時期があって。
じゃあどこの国で勉強するかと考えていた時、
当時大学で版画を教えてくださっていた戸村茂樹先生の持って来た資料が
いわゆる”東欧”と呼ばれる地域のものが多くて
それで自然とその国の人々に興味が湧いて来たんです。

—そこからどうしてスロヴァキアを?

もともと好きな作家さんがスロヴァキアに多かったというのと、
岩手大学に入る前、花巻市の萬鉄五郎記念美術館で
ブラティスラバ国際絵本原画展が開催されていて、
その時に見たドゥシャン・カーライさんの作品がとても素敵で。
それから大学に入り、戸村さんに教えてもらうようになってから
カーライさんの作品をもう一度見る機会があって、
もし外国に行くならスロヴァキアがいいな、と思うようになりました。

▲戸村さんからいただいたカーライさんのエッチングの図版(左)
最近古本屋さんで見つけて購入したカーライさんのスロヴァキア語の絵本(右)

—スロヴァキアには誰かに教わろうと行ったのですか?

留学について色々調べているうちに、カーライさんが
ブラティスラヴァの美術大学で版画を教えていることがわかり、
ぜひ教わりたい、と岩手の大学で作った作品を見せに行きました。
ただ、カーライさんは版画学科の中でも
絵本やイラストレーションを作るアトリエの先生で、
作品を見てはくれたんですが、岩手大学で作ったものは
ほとんどが抽象的な作品で、結局カーライさんの元では版画は教われず、
一旦日本に帰って来ました。

−教わりたい先生に教わるというのも結構大変なんですね。
一旦戻った後はどうされたんですか。

戻った後も、やっぱりスロヴァキアという国が気になってしまって・・・
生活をして制作を続けるのであればやっぱりスロヴァキアがいいなということで
今度は版画学科の中でも抽象絵画をやっている先生を紹介してもらって
もう一度スロヴァキアに行けることになりました。

−それはとても良かったですね。
スロヴァキアの大学に入学して、向こうでの生活も気になります。

はい、大学はスロヴァキアの首都、ブラティスラヴァの中心地よりも少しはずれの
小高い丘の上にあって、毎日バスで通学していました。
そのバスがお城の脇を通って行くんですけどそれがいいなって。

−わー、お城。町なかにそういうお城があるって素敵ですね。

そうなんです。でもバスが丘の少し手前で停まるので
降りて登っていかなきゃいけなかったのが少し大変でした。笑

▲ブラティスラバ美術アカデミー 参考:https://www.facebook.com/vsvu.afad/

−向こうではアパートとかを借りて?

そう、アパートを借りてルームシェアをして暮らしていました。
日本人同士の時もあったし、
スロヴァキア人と一緒にシェアするときもあったり。
何度か引っ越しもしました。

−言葉とかも結構大変だったんじゃないですか?

勉強はしていたのですが、
いざ向こうで自信満々に挨拶したらほとんど通じなくてショックでした。
最初の一年は本当に学校の中でも、町にいても
スロヴァキア人が何を喋っているか全然わからなくて。
でも、少しづつ日常で使う単語から覚えて、
耳も慣れるしで帰る頃にはある程度一人でなんとかできるようにはなりました。

−全くわからない言葉って本当に不安ですよね。

バス乗りたいとか電車乗りたいとかでもチケットの買い方もわからなくて
一気に自分が3歳くらいの子供になったような虚しい感覚でした。笑

(続く)