今年も水引で作られた置物「申」が登場しました。
繊細な手仕事と特徴を捉えるセンスが生み出す作品は
H TOKYOのお正月には欠かせないアイテムになっています。

また、ギフトパッケージとして人気の「水引」
作ってくださっているのも今回の主役、喜久優の渡辺さんです。

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水引の歴史や、水引ができるまで
また、渡辺さん自身のことや今後の展望まで
いろいろ伺いました。
今回はその第1章です。

【一、起源、元結、水引 どのようにできるか】

—水引の起源やいわれを教えてください

もともとの起源は遣隋使の航海で日本に贈るものに
麻ひもを紅白に染めた結びが
あったそうです。
無事に日本に届けることができるようにという願いを込めて結ばれていたのです
そこから献上品には「結ぶ」という習慣が宮中にあったと言われています。
紙の糸になると400年前くらいになります。

—初めは麻ひもだったんですね。紙になったのはいつ頃ですか?

はい。江戸時代になってから紙糸がさかんになっていきます。
独自の文化になり、庶民の生活に浸透していきます
大きな需要は、まげを結う糸です。その頃の水引は限られたものでした。
「元結(もとゆい・もっとい)」というものが主です。
江戸時代は紙の糸として全国に和紙の産地があったので
その各地で作っていたのですが

飯田の元結商人が江戸に行って「うちの飯田元結は丈夫で品質がいいですよ」と
売り込みをしたそうなんです。桜井文七という人です。
その後江戸の武士や町人の間で「確かに丈夫で切れにくい」と評判になったそうです。
それは品質を保つ為に殿様も奨励をしてきた背景があり、
職人の技術がより発展していったという流れです。

—もともとは「元結」からはじまったんですね。

そうです。そして江戸時代が終わって断髪例の時にまげを結う必要がなくなったので
それに変わって元結の技術で作られるようになったのが水引です。
元結の技術はまげを結う他に、帳面を綴じる糸や、
お茶屋さんが紙の袋を縛る時にも使っていました。

—元結と水引の違いは何ですか?

元結はとにかく丈夫で切れない。それは和紙の技術だったり、
紙をよる加減だったり糊加減が関係しています。
水引よりも細いのですが、引っ張っても切れません。
お相撲さんのまげも結っているのですが、頭と頭がぶつかっても切れないです。
元結を今でも作っているところはごく限られていて
全国でも飯田だけが元結で残っているんです。
相撲協会は今でも飯田の元結を使っています。
水引も基本の作り方は同じです。
江戸時代もメインは元結を作って冬場の副業として
水引を作っていたりしたところもあったようです。
戦後、高度経済成長とともに水引の需要が増えて色や飾りも
もっとほしいということで
機械化がされ、水引の色も増えました。
今では水引が主で機械化の製造で、元結製造は限られ手作業です。

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—水引はどうやってつくっているんですか?

飯田は昔、その和紙を作るこうぞの産地でした。
繊維を絡めた丈夫で白い和紙から作り、こよりにしていきます。
こよりにした状態で米糊などを混ぜた「水糊を引いて」付けていきます。
乾燥した後に竹皮で滑らせ落ち着かせて、
自然の光沢感をだして、丈夫で美しい紙糸ができます。
水引はこの元結技術から、こよりに色彩を施します。

—ありがとうございました。
第2章【二、意味性、産地、結びについて】につづきます。

喜久優

明治21年4月(1888 年)
飯田文七元結と水引製造の卸問屋として開業
平成26年11月(2014年) 長野県百年企業<信州の老舗>表彰
主な活動・略歴 http://www.kikuyu.jp/iidamizuhiki/activity/