こちょこちょインタビュー 天然藍染ハンカチ

京都の藍染作家「こちょこちょ」さんに
藍染でリネンを染めていただき
とても素敵なハンカチが出来上がりました。
そんな「こちょこちょ」の谷尾さんご夫妻に
天然藍染についてのお話を現在展示を行っていらっしゃる
青山のスパイラルにて伺いました。

允康:旦那さま 谷尾允康さん
展子:奥さま 谷尾展子さん
芳子:お嬢さん 谷尾芳子さん

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—こちょこちょさんの藍染ってどんな藍染ですか?

展子:天然の藍染ということでさせていただいていて
発酵液で色を出しています。
液が発酵して生きている状態で染めているんです
「常温で染める」というのも特徴の一つです。
普通染めものは熱をかけて染めることが多いのですが
私たちの藍染は発酵を使っているので
気温とか湿度とか色々なものに本当に影響されるんです。
藍染って世にたくさん出回っているので
本当に何が藍染で材料は何かっていうところまでは
きっとご存じないところが多いかと思います。
一言に藍染と言っても化学染料の藍染もあって
私たちがやっているような天然の全て口に入れても大丈夫な素材だけで
染めているというところはとても少ないと思います。

—季節でも色は変わるんですか?

展子:はい。変わります。
夏だと気温が高いので過発酵になりますし
冬だと気温が低いため微弱な発酵になるので
その発酵の具合によって色が変わります。
年中染めているとグラデーションになっていくんです。
もちろん染めの回数によって濃くもなるのですが
季節でいうと温度が高いと色は濃くなるので夏は濃くて
逆に冬の寒い時期はとても薄い色が染まります。

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※今回天然藍染で染めていただいたリネンの生地。

—天然の藍染の材料は何ですか?

展子:私たちは5種類の材料を使って藍を建てています。
まず、「蒅(すくも)」と言う藍の葉っぱです。
藍は植物なのでその葉っぱを発酵させたものが蒅です。
あとは、「灰汁(あく)」です。
これは木を燃やした時に出る灰にお湯をかけて上澄みを取ったものです。
それから「日本酒」も入っています。
有機純米酒が1本入っているんですよ。
清めの意味もあるんですが、発酵を促すと言うことで入れています。
あとは「石灰」と
「ふすま」と言う小麦のぬかが入っています。

—日本酒が入っているなんてびっくりしました!

展子:そうですよね。
農薬を使ったお米で作ったお酒ではなくて
無農薬の有機純米酒を入れてみたら
すごい違いでびっくりしました。
とっても藍の持ちが良くなったんです。
染められる期間が長くなって匂いとかも少なくなったんです。

允康:発酵と腐敗って紙一重じゃないですか?
悪い菌が活躍するかいい菌が活躍するかの違いなんですよね。
有機米の純米酒に変えたら悪い菌が活躍しにくくなって
良い菌が生きやすい環境になって
藍の持ちが良くなったんです。

展子:とんといい香りになったよね。色も違うし。

允康:腐らなくなったしね。

展子:ほんとに!長持ちするようになりました。
小麦のぬかのふすまも有機小麦のを選んだり
その他の材料も農薬を使わないものを選べば
もっと良くなるんじゃないかなと思っているので
変えていけたらなと考えています。

—天然の藍染だとあとはどんなところが違いますか?

展子:色が出るまで気長に待つというところですかね。
納期などもあってどうしても染めなければならないものもあるんですけれども
そこで化学染料を入れてガッと染めてしまうのではなくて
その染まるなりで待っていただくこともあるくらいなんです。
H TOKYOさんにも待っていただきましたね 笑
でもそうすることで無理をしていないいい色に染まるということはあると思います。
それにね、とっても気持ちが入るんです。
今瓶が4つあるんですが
例えば2つ藍が建っていて、1つ藍を建て始めた時に
その瓶がちゃんと建つまであと2つの瓶が頑張ってくれるんですよ。
「あともうちょっと待って!頑張って!」っていうと
それがちゃんと通じるっていうか
すごくかわいいし生き物っぽい感じなんです。
でも建ってしまうと染められる期間があって
それが終わって染まらなくなると流してしまうんですけど
「次の瓶が建つまで待って!」って
そんな約束事みたいのが通るんです。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

逆にあんまり酷使し過ぎると「やめて!」みたいな感じで
染めたらあかんなってわかるくらいなんです。
接し方を間違うと色が出なくなったり
そういうことが本当にあるんです。
難しいですけど、子育てと一緒というかね。
ちゃんと手をかけて育てていって
いい色になるのを待つのみという感じです。
あんまりいろんなことを加えないで
無理に色々言ったりせずに
藍の瓶に任せるということも大事だと思います。
その子の個性を活かすというような
そういうところはあるかなと。

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※できあがった天然藍染のリネンハンカチ。

—展子さんが藍染を始めたきっかけは何ですか?

展子:主人が藍染のお店の二代目で
嫁ぎ先が藍染をしていたということだったんです。
でも元々染めとか織物とかは好きで
テキスタイルスクールには行っていました。
ですが正直「中でも藍染が好き!」というわけではなかったんです 笑
主人のお父さんは着物とか和物を染めるお仕事が主だったのですが
それは私たちの代でやめてしまって
Tシャツとか普段に使ってもらえるものにしたいなと思っていて
ちょうどわたしが嫁がせてもらって
転機が良かったという感じです。
その中で洗えば洗うほど綺麗になる藍染をやりたくて。
絹ですとやっぱりなかなか洗いには出さないので
どうしてもちょっとくすんで行ってしまうんです。
例えばTシャツだったら着て、洗ってを繰り返してもらえるので
いいなと思って。

—允康さんは継ぐことはいやではなかったですか?

允康:考えたこともなかったです。
でも友達から「何で藍染継ぐの?」って聞かれた時に
「ずっと家がやってるからやってんねん」じゃ
あかんやろって思って何でやってんやろって考えてて。
結局、染め上がった時の色を見て
その色がすごく綺麗なんですよね。
それ見るとなんか嬉しい気持ちになるんです。
だからずっとやっているような気がします。
それに作業自体はすごく好きなんです。それだけなんです。
でも色の綺麗さは伝えたいし、提案したいなって
思っています。

展子:こういった展示会場にも
お客様がすっと入ってきて「色が綺麗ですね」って
言ってくださるのが一番嬉しいですね。

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※8月1日まで開催のスパイラルでの展示の様子

允康:仕入れてる蒅屋さんがうちのTシャツ買ってくれて
着てくれてるんですよ。
いろんな納め先行ってるんですけど、
みんなうちの買ってくれてて。
藍染作家の友達もうちのTシャツ買ってくれてて。
「自分で染めたらええやん」っていうんですけど
「この色には染まらん」って言ってくれて 。
すごく嬉しいです。

—やっぱり藍染の好きなところは「色」ですか?

允康:そうですね。
今はこういった薄い色の藍染も若い人を中心にやっていますが
僕が始めた頃はこんな色提案している人いなかったんです。
江戸時代から藍染には薄い色から濃い色まで
色数がたくさんあってってうんちくを言う人はいるのですが
瓶覗(かめのぞき)って言ってごく薄い藍の始めの色とかは
ずっと見せてこなかったんですよ。
それにそんな商品も作ってなかったです。
僕は一番この薄い藍が好きなんです。
だからそれぞれの色を提案するっていうことを始めたんです。

芳子:わたしも色が好き!

—お洗濯しても落ちないんですよね?

展子:そうなんです。
化学染料で染めちゃうとそれが剥がれ落ちて
それが洗濯機で一緒に洗うと他のものを
染めてしまうんです。
どうしても化学染料で染めてしまうとそうなるので
藍染のイメージも色落ちする
というイメージがあるかもしれませんね。
天然染料はその辺が全然ないので
他のものと一緒に洗っていただいて大丈夫です。
堅牢度(けんろうど※)がいいっていうのも
天然の素材で染めているってう賜物かなともいます。
※染色したものの変色や退色に対する丈夫さの度合い

—アトリエも兼ねている「ごまろぐ」とはどんなところですか?

展子:本当に森の中の一軒家という感じです 笑
なんにもないところなんですけど
ただただ環境が良くって、目の前が畑で裏が森で。
集落からも少し離れていて
ログハウスがポツンと森の中に建っているような
そんな場所です。

允康:駅から歩いて20分くらいなんです。
窓を開けると電車の音は聞こえるんです。
そんな環境なんですけどお隣までは300m離れていて
車とか人通りはほとんどないんです。
窓から見えるのは緑の木々なんで
京都なんですが信州みたいにいるのと変わらない感じに思います。
少し丘の高いところに藍染の工房があって
そこの窓からも木々の緑しか見えないので
染めてるとすごく気持ちがいいんです。

展子:ほんとに。人より動物の方が多いくらいです 笑
鹿とか猪とかもいますよ。

—ごまろぐはお泊りもできるんですよね?

展子:そうなんです。宿泊も始めました。
泊まれるアトリエということで。

允康:1日一組限定なんですけど。
一緒に晩ごはんや朝ごはんを食べたり
お酒飲まはる人にはお酒もお出しするし
車で10分かからないところに
温泉もあるので、そこにお連れして
温泉にも入っていただくんです。

展子:親戚の家に遊びに来たみたいな感じです。

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—これからやってみたいことや挑戦してみたいことはありますか?

展子:藍染は正味二人でやっているので若い人を育てたいというか
一緒にやりたいと思っています。
手伝って欲しいという思いもあります。
畑もやり始めて数年なんですけどそこで藍を育てているんです。
今は徳島から「蒅(すくも)」という発酵した状態で仕入れているので
自分の畑で育てたもので染められたらいいなと
それは本当に最終目標なんですけど思っています。
農家さんレベルのことなのですごく大変なことだとは思うのですが
可能な限りやっていきたいと思っています。
もう体力的にもきつい年頃なので
体力に自信のある人大募集! 笑

—允康さんはどうですか?

允康:やりたいことはいくつかあって
まずこの藍を染めるということをちゃんと伝えたいということです。
藍染をやりたいってなったその人らがちゃんと仕事になるように
販売できる道もつけておいてあげたいんです。
今それにも取りかかっています。
そっちができてないと、続かないし。
それと、東京に工房を持ちたいです。
人が育てばその人が働く場所になるし
どこでも染めることができて
東京であればいろんな人に見てもらう機会も増えますし。
なのでいいなって思っています。
あとは有機米の純米酒でいいことがあったので
その藍の葉っぱも有機無農薬で作って蒅の形にしたいです。
今でも有機で作っている蒅農家さんもいらっしゃるのですが
化学肥料はどうしても使っているのでそうすると細胞壁が硬くなって
野菜とかだと何か繊維が残る感じの野菜になっちゃうと思うんです。
だから何かが変わるんじゃないかと思ってて。
それを一度試したいんです。
蒅屋さんには江戸時代みたいな蒅を作ってみて欲しいって
いうんだけどなかなかやってくれないんです。
虫が発生すると一夜で食い尽くされてしまうので
そういうリスクは負えないって。
「僕はそれに取り組んでみようと思ってんねん」
って農家さんに言ったら羨ましがってました。

展子:それができたらまた色が変わりそうだよね。

允康:何が変わるのかわからないからいから
やってみたいと思っています。
何も変わらないなら変わらないでそれもいいかなと思ってて。
ただ、それがどんなものになるのかは知りたいと思ってます。

—とても研究熱心で、本当に藍染がお好きなんですね。

允康:いや僕ね藍染めが大好きでってわけでもないんです。
京都造形大で毎年授業をやらせてもらってて
その学生さんたちにも毎回話すんですが
日本の天然の藍染が本物で
大量生産で作られた藍色のTシャツは偽物って思っている人もいるけれど
僕はそんな風には思っていないんです。
藍色に染まっていたら藍染でOKだと思ってるんです。
大量に同じクオリティーで同じ色で染めるっていうのもすごい技術だし。
極端に言うと1枚買うのに千円出してお釣りがくる
藍色のTシャツを着て幸せやなって思えたら一番いいと思うんです。
ただ僕らは日本の天然の藍染できちんと染めて提案しているところはないので
それがどんなもんかっていうのを提案したいんです。
だからこれが一番いいとは思っていないんですよ。
僕らのTシャツなんて1枚買うのに
1万円出してもまだ足りないんですから 笑
そういうのは大前提で思っています。
でもきちっとした藍染の色はちゃんと提案したいってそれだけです。
だからそういう人がたくさん出てきたら
僕がやる必要もないかもしれないです。それくらいの気持ちです。

展子:いつか世代交代がくるかもしれないね 笑

素敵なお話をありがとうございました。
とても自然体でお話をしてくださり
本当に気持ちがいい空気感の中で
インタビューをさせていただきました。
谷尾さんご一家の暖かさが作品にも現れています。
ぜひ店頭で藍染のハンカチをご覧ください。

また8月20日には奥様の谷尾展子さんによる
手刺繍教室を京都店にて行います。
詳細とご予約は京都店まで。TEL/075-746-3580 MAIL:store_kyoto@htokyo.com

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こちょこちょ:www.cochococho.com
2016年8月1日まで青山スパイラルマーケットにて展示開催中。http://blog.cochococho.com/?eid=183

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