南シャツ

現在三宿店では『MINAMI SHIRTS』のオーダー会を行っています。
採寸から型紙作り、裁断、縫製、仕上げまでを一貫してシャツづくりをしている
職人、南シャツの南祐太さんに
シャツづくりのこだわりや、シャツづくりを始めるまでのお話を伺いました。

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■シャツ屋さんを目指したのはどうしてですか?

南:専門学校の科はファッションビジネスだったので
縫製等はやっていなかったのですがデザインもやりたいと思い始めたくらいで
そのまま卒業してしまったです。
その時なにかバイトでもしないとと思って近所の縫製工業にいったんです。
それがシャツの縫製工場だったんです。

■それがシャツとの出会いだったんですね。

南:そうなんです。学生のころからシャツブランドをやれたらなとは思っていたので
そこがたまたまマッチして。でもバイトだと思ってたので
「次いつ来ればいいですか?」って聞いたら「毎日くるんだよ」って言われて 笑
そこから自分の仕事はシャツを縫うことなんだって思ってはじめたんです。

■縫製工場では主にどんな仕事をしていたのですか?

南:百貨店のオーダーシャツを縫う工場だったのですが細かい寸法等が来るとはいえ
縫うことだけだったので型紙とかデザインに関われる仕事ではなかったんですよね。
なので縫製職人という感じでした。
もとからシャツは好きだったのでだいたいかたちには
2ヶ月くらいでできるようになりました。
そこから3年くらいもう毎日ずーっと1日シャツのことを考えていました。
仕事の間もシャツのデザインをこんなの欲しいなとか
こんな風に縫ったらどうかなとか考えて、
帰ってからはそれを実際に縫ったりもしていました。

■その後独立されたんですよね?

南:はい。工場としての仕事ではなく、もっと自分のデザインでちゃんとしたものを
作れる職人になろうと思って独立しました。
それが23歳とか24歳のときです。
独立したあともオーダーシャツの仕事をもらって
自宅のアトリエで縫っていた感じです。
そこから7年なので意外と長いんですよ 笑
お店を作ったのは去年から今年にかけてなのでだいぶ最近の話です。
アトリエ兼お店みたいな感じです。

■ずっと地元にいらっしゃいますよね?やっぱりお店も地元だったんですね。

南:そうですね。店を出すのはずっと無理かなと思っていたので
自宅の1階でやればできるかも!と思って始めたんです。

■簡単にシャツの出来るまでの行程を教えてください。

南:まずは採寸をして型紙を作ります。
この型紙がうまく引けるかで8割9割が決まるんです。
伸びる生地や縮む生地があるので生地によって寸法を変えたり
クリーニングをかけるかなど
お客様と話しながら型紙の作り方を考えますね。
それがBe Spokeかなと。
あとは生地にアイロンをかけて縫ってからボタンホールとボタンをつけて、
仕上げをして完成です。

minami02

■シャツ作りにおいての南さんのこだわりは何ですか?

南:縫製工場で朝から晩までかなりたくさんの枚数を縫って来たので
縫い方とかきれいに縫うとかはもうできてあたりまえのことだと思っていて
それはこだわりというよりか当然のところで、
こだわりと言えばやはり型紙ですかね。
お客さまの体型のくせをちゃんと取って
「こういうのがいいな」っていう声を大事にしています。
なのであまり決まり事に捕われないです。
話しながら一番いいかたちを作れるというのが自分のこだわりかなと思います。
スタイルよく見せるためにシャツをつくるって難しくて
他の例えばジャケットみたいに肩パットや暑い芯地が入れられるわけでもないので
かたちが作りづらいんです。きれいに身体に沿わせすぎても美しくなくて。
そのいいところを狙う感じです。

■シャツ業界の今はどうですか?

南:オーダーシャツ職人の業界ってあんまり若手がいないんですよ。
だいたい60代〜70代で皆さん下請け職人で
個人が前に出て採寸から縫製・仕上げまでやるっていうことが全然ないんです。
だからオーダーシャツの良さをもっと広めないといけないと思っています。
「Made in 職人」というかどこの誰が作っているかという部分を大事にしたいなと。
とにかく職人の店が無いんですよね。
オーダーシャツを縫っている工場も少なくなってきてしまったし
オーダーのジャンルも色々ですが、本格的なオーダーシャツを作っているところが
あまりないように思います。

■今回提案するデザインのポイントなどはありますか?

南:ベーシックなラインは自分の中で思う「国ごと」という感じです。
例えばスーツだったらイギリス、イタリア、フランス、アメリカとかが
主流ですがそのシャツ版と言った感じです。
その他カジュアルで着られるようにちょっとデザインを施したものもあります。
でも特にメンズのシャツってベイシックなものが基本だと思っていて
普通のシャツをかっこよく着てもらうのがいいのかなと思うんです。
なんかいいねと言ってもらえるものにしたくて。
デザインと言っても型紙の方でするデザインという感じですかね。

■今後の南シャツさんについて教えてください

南:本格的なシャツのオーダーはそんなに知られていないので
皆さんに見てもらえるような仕事をしないといけないなと思っています。
体型に合うものがなかなか無い方とかが気軽に
ここまでの仕上がりでこの値段でできるっていうところも
大事にしたいかなと思います。