井伏鱒二の短編の中から「休憩時間」という一篇。
大学の休憩時間にあったちょっとした寸劇を描いた一篇。
学生時代の一種独特の自己表明が、ちょっとした事件をきっかけにさまざまな形で噴出する。
学生のときに学んだことは大して思い出せないけど、自分の中にあったちょっとした出来事が不思議と何かのきっかけで急に思い出されることがあります。
「文科第七番教室は、この大学で最も古く、最もきたない教室である。・・・机や腰掛けの上にいっぱい埃がたまる。学生たちは机につこうとするたびに、帽子やハンケチで埃を払わなくてはならないのである。」
短編の中で「ハンカチ」「ハンケチ」とそれぞれ表現されていることが興味深い。
ニュアンスとして意味の違いはあるのでしょうか。