世田谷文学館で行われている星新一展にいってきた。
星新一の父は星一。自分は何もしらなかったのだが、星一は、星製薬の創業者、現在の星薬科大学の設立者であり、また政治家でもあり、野口英世との交友など、一代で大きな事業を成し遂げ、またその時代の歴史名を残す人間との幅広い付き合いのある人物。
星一の人生哲学であり、会社の社是は「親切第一」
星親一の本名、星親一の名はその「親切第一」からきている。
親切第一という言葉すてきです。
アメリカで客死した父の事業を継ぎ、社長として3年間、当時既に大量の負債などを抱え、事業を他に引き継ぐまでの暗黒の時代が、星新一の作品を生み出す一つの原動力にもなっているともありましたが、人生何があるかわかりません。
久しぶりにその代表作「ボッコちゃん」を読み直す。
小学校5年生以来担任の先生に勧められて読み、大学生の頃にも確か一度読んだか、変わらず楽しめるところが、星新一作品の懐の深さなのか、自分が何も変わっていないのか。
その中の一篇「愛用の時計」
「楽しげに口笛を吹きながら、K氏はハンケチを出し、腕時計を軽くぬぐった。これは彼のいつもの癖だった」
自分はふだん時計をしないのですが、時計の境面をハンカチで拭く所作は、美しい感じがします。身の回りの道具を慈しむ心。みせびらかしはいやらしいですけどね。
ボッコちゃんの短編の中で、「ツキ計画」と「キツツキ計画」がやはり昔と変わらず好きな一篇です。