『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹 1985年
村上春樹の小説で最も好きな作品。彼の小説にはよくハンカチが出てくる。
本人がハンカチを使うかどうかは知らない。
おそらく小説の中にハンカチが登場するのは身近にハンカチという存在が、記憶の中で強くあるのか、現物として手元にあるのかわからないが、想起されやすいのではないかと推察する。
まぁ、どちらでもよいですが、ハンカチをもっていただけるひとが多ければ多いほどうれしいです。
この小説は「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」がパラレルに進んでいく。
ストーリーを説明するのは、それぞれが特殊な設定になっているので、割愛。
読んだことがある人は記憶をたどり、そんなシーンがあったのかと再認識し、
お読みでない人で興味のあるかたは手にとってください。
ハンカチの登場シーン「世界の終り」から:
「大佐はコーヒーからを全部飲んでしまうとカップを皿に戻し、ポケットからハンカチを出して口もとを拭った。大佐の着ている服と同じようにハンカチもよく使いこまれた古いものだったが、手入れは行きとどいていて清潔だった。」
清潔で大事につかわれているハンカチ。物のありかたはそのひととなりをあらわします。
大佐の性格、生きる姿勢を見事に表象したシーン。
自分もこうありたいです。
ちなみに…、IIDでは現在「世界の終り」という展覧会を行っています。
林勇気さんという映像作家で、この小説とは関係ありませんが、こちら大変面白いです。
ぜひどうぞ。