井伏鱒二の短編の中から「へんろう宿」という一篇。
ある地方の宿に泊まった主人公が、その宿を営む老婆たちの不思議な秘密を知る話。
主人公は、漏れ聞こえてくる音、明かりを防ぐためか、黄変した布団かぶるのに
「私は自分の顔の上にハンカチをかけ、その上にふとんをかけた」
というシーン。
井伏鱒二は間違いなくハンカチをもっていたし、愛好していたに違いない。
9篇の短編の中から、3篇それぞれ違う役割でハンカチが登場します。