私の好きなハンカチ 前編

一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、
ハンカチにまつわることを、H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、
お伺いしていきます。

21人目はswimmieのディレクションを担当する亀山薫さんです。
銀座店が1周年を迎えるにあたって
ハンカチへの想いを聞いてみました。
好きなハンカチの話からswimmieディレクターとして
またクリエイターとしての考え方など様々な
側面から話を聞くことができました。
前編後編に分けてお届けします。
まずは好きなハンカチについてのお話です。
ぜひお楽しみください。

A-2

—お持ちいただいたハンカチの好きなところ、
オススメのポイントは何ですか?

swimmieのハンカチはどれも好きなのですが、
その中でどれかを選んでしまうとひいきみたいになってしまうので 笑
今回はswimmieではないハンカチをあえて選んできました。
まずは私がH TOKYOに入って初めて買った
リネンのハンドロール(手巻き)のハンカチです。
タグのロゴも以前のものです。
初めてお店に来た時は今みたいに
デザイナーさんのプリントのハンカチはあまりなかったんです。

—シャツ生地がたくさん並んでいたんですね。

そうですね。
少しずつデザイナーさんとつくるハンカチが
始まったくらいの時でした。
柄物はリバティー※の生地やヴィンテージの生地が
多かったですね。
その中で目に留まったのがこのストライプのハンカチでした。

※イギリスにあるリバティ社の生地ブランドです。
さらりとした薄手のコットン生地にレトロで多色使いの小花柄をプリントしたものが代表的です。

—亀山さんが持っているハンカチにはストライプが
多いと思うのですが、もともとストライプは好きだったのですか?

そうですね。
取り置きしているのはストライプのハンカチばかりですよね 笑
今日は記念にお気に入りと色違いの
ミントグリーンのハンカチを買って帰りますね。
お洋服でストライプは数枚しか持っていないのですが、
太めのストライプをみるとグッとくるんですよね。
ハンカチなら持てるというので惹かれるのかもしれません。
チェックはあまり私には似合わない気がして。
太いストライプの「生地」自体が好きなんだと思います。
あとは女性ものは花柄などの柄物が多いハンカチの中で
シンプルなストライプのハンカチが珍しかったのかもしれないですね。
今では普通なんですけど。
それと、素材感も大きなポイントですね。

—そのハンカチは入ってすぐ買ったということは
もう8年使っているということなんですね。

そうです!
リネンって10年後が美しいって言われているので、
今育ててる途中です。
頻繁に使っているわけではないですけど
やっぱり柔らかくなっていますし
吸水性も使い勝手も感触もいいので
自然と手がのびてしまいます。

—こちらのプリントハンカチは
Able Art Companyさんのものですね。

これは本当に「すごいなあ」と思った1枚です。
デザインはどこまでしているんですか?
(インタビュアー岡崎がデザインを担当しました)

—-文字を選んでレイアウトすることはしましたが、ほぼほぼそのままです。
文字のかたまりひとつひとつが作品でした。色も変えていません。

そうなんですね。
即、取り置きをして購入しました。
これは食いしん坊の私にはもうなんというか
最高だ!って思ったし
自分にはこういうのはできないないし、さすがだなと
思った1枚です。
あと、今日は岡崎さんに会うので選びました。

AAC

—ありがとうございます!嬉しいです。
でも生地感もだいぶ柔らかくなっていますね。
サテンの生地ってこんなになるんだって思いました。

確かにそうですね 笑
でもおかげでかなり使いやすくなっています。
もうこれも7年前くらいですもんね。
今は新潟に住んでいるのですが、出張や旅行で出かける機会も多く、
少なくとも滞在日数×2枚はハンカチを持ってきています。
なので5日滞在する思ったら10枚以上は準備して、
トラベルバッグに入れていきます。
これが本当に便利で、スーツケースの中にはいくつも入っていますね。

TB

—1日必ず2枚は持っているんですか?

はい。出かける時は必ず2,3枚です!
まず膝かけ用です。ごはんを食べる時は絶対に膝にかけます。
それと実用的に汗を拭いたり手を拭いたりするハンカチです。
あとはアレルギーで急に鼻水とくしゃみが止まらなくになることがあるので、
鼻と口をおさえるのに使います。
そうなるとそのおさえたハンカチで
手を拭いたり、膝にかけたりはしたくないので
2,3枚は必ず持つようにしているんですよね。
2枚あったら本当に安心します。
1枚でも持っていないとかなり不安なので
ハンカチを忘れてしまったら買います 笑

—2枚あるとより安心ということなんですね。

そうです。
「出かける時には2枚は持つもの」と
今では私の中の基本になってしまいました。
あとは毎日2枚持てるほどハンカチをたくさん持っている
ということもあります 笑
だからこそいろいろなハンカチを使いたいという気持ちもありますね。

—見せハンカチの要素もありますが、
実用的な部分でももう1枚が役立つこともあるんですね。

そうですね。swimmieでは3枚持ちを推奨しています。
1枚目は実用的なハンカチ、
2枚目は見せハンカチ、
3枚目は差し出す用のハンカチです。
3枚目は必需品ではないですが、
常に他の誰かを思いやることができる
心のゆとりを持っていたいという気持ちの表れかなとも思います。
なかなか誰かに差し出す場面はないかもしれませんが
そういう時がおとずれた時に
さっと出せるようにしておきたいなと思います。
でもトイレに行った時に手を洗って
ハンカチで拭いていると
姉が当然のように手を差し出してくるので
そういう時は自分が使ったハンカチを
そのまま渡しちゃいますけどね 笑
これでいいのかなあとは思いますが。まあそこは姉妹なので。
それだけ仲がいいってことでもありますよね。

—確かにそうですね。
やっぱりハンカチってかなりパーソナルなものでもありますもんね。

本当にそうです。
間接キスくらいのレベルですよね 笑
もしかするとそのハンカチで
私が何をしたか…なんてわからないのに
「貸りていい?」って思ってくれるのって
親しい仲でかつ信頼があるからなのかなと、
そこに距離の近さを感じますよね。

—ハンカチの貸し借りってちょっと特別ですね。
そう思うとハンカチって他のツールとも何か違う
特別なものに思えてきます。
その日のハンカチはどのように選ぶのですか?

着る服を選ぶ時に一緒に選んだり、
打ち合わせや展示を見に行くときはその作家さんのハンカチを
持って行ったりします。
「あの人に会うから2日目はこのハンカチ」とか
「ごはんを食べに行くからこれとこれ」とか
そんな風に予定から選んでいます。

—それは素敵な選び方ですね。
私は結構フィーリングで選んでしまうので 笑

この出張があるという仕事のスタイルだから、
より考えるのかもしれません。
今日は白っぽい洋服なので汚れないように
差し色になるように、濃いめの赤のハンカチにしたり。
でも毎日外に出ていたらハンカチの選び方も
少し変わってくるのかもしれませんね。

—続いてのハンカチはお米柄ですか?

はい。
友人でイラストレーターの安原ちひろさんにいただきました。
私が「おむすびこ」という食のイベントをやっていたときに
『ハンカチ屋だし、おむすびこだし、これは
絶対かめちゃんに持っていてほしい』といって譲ってくれたんです。

—それはすごく嬉しいですね。
ハンカチを見て亀山さんを想ってくれたんですもんね。

そうなんです!嬉しかったです。
でも実はもったいなくてまだ1回も使えてません 笑
鑑賞用です。
タグが海苔になっているのも可愛いですよね。
いつかまた「おむすびこ」を開催する時が来たら
満を持して着物に合わせて使いたいと思います。
これはもう「わたし」ですね。

—こちらのハンカチはどんな思い出がありますか?

これは自分で購入した中で一番
古いハンカチだと思います。

—これはヴィヴィアンウエストウッドですか?
自分の思うヴィヴィアンのイメージより大人しく感じますね。

そう思います。これは18か19歳くらいの時に
買ったハンカチです。
時代はヴィヴィアンとか裏原宿の世界でした。
ヴィヴィアンのお洋服も持ってはいましたが
高価でなかなか買えなかったし、やっぱり憧れがありました。
その時に手軽に買えるものというところで買った思い出があります。
ツイル※の生地でピコ※が入ってていいですよね。

※ツイル・・織り目が斜めになっている綾織物のこと
※ピコ・・穴を開けながらかがる飾り縫製のこと

ハンカチとしてはあまり使っていなくて
首や頭に巻いたりして使っていました。

—18歳の頃と考えるとこのハンカチも長持ちですね。

そうですね。
ここ10数年くらいは引っ越しも多かったので
そのときに処分をしたり、譲ったりもしたのですが、
このハンカチは手元に残しておきたかったものですね。

—その頃の思い出とかもありますか?

実はあまりハンカチの思い出ってなくって…笑
でもハンカチとお弁当包みを兼用していた気がするんです。
それにハンカチというよりバンダナやスカーフをたくさん持っていました。
手触りというよりも配色や柄などの見た目で選んでいました。
もともと古着も好きなので
二度と手に入らないものとの出会いという感じで買うことが多かったです。
それとちょうどその頃、
海賊巻きみたいな感じで
バンダナを頭に巻くのが流行っていたんですよ 笑

—これは素敵な刺繍ですね。

H TOKYOに入ってハンカチを勉強していく中で
こういうスワトウ刺繍 ※というものがあることを知って購入しました。
この刺繍の細かさや柄によって値段が違うそうなんですが
これは5000円だったのですが、まだお手軽な方で、
50000円以上のものとかもあります。
でも自分の中でこれは「よしっ!」と思って
勉強のためにも…という理由をつけて購入しました。
大事に手で作られた特別なハンカチを持ってみたいという
気持ちもありました。

※中国三大刺繍の1つ。ヨーロッパの感性と
中国古来の技術が融合した芸術的な美しさを持つ刺繍。

—本当にすごい刺繍ですね。

本当に美しいですよね。
5000円のハンカチって高いなとも思いますけど
でもこの仕事量を考えると逆に安いですよね。
結婚式など改まった席に行く時に使っています。
まさに「見せハンカチ」ですね。
4人姉弟なのですがその結婚式の時も持って行きました。
楽しい結婚式で、なかなか泣く場面はないんですけど
でも万が一に備えています 笑
姉の結婚式の時はH TOKYOのハンカチに
出席者それぞれの名前の刺繍を入れて
席札代わりに使わせていただきました。

—そうでした!使ってもらいましたよね。

実は今度は弟が結婚式をするのですが
その時もまた姉のときのようにしたいと
弟が言っているのでお世話になれればと思っています。

—家族にもハンカチをプレゼントしますか?

そうですね。
勤めはじめのころはよく
ハンカチを家族にもプレゼントしていました。
みんな今でも使ってくれていています。
お父さんにはリバティーの
ちょっと変な亀の柄のハンカチを贈ったんです。
これが入荷した時に私に買ってってことかな?と
思ったハンカチだったので 笑(苗字が亀山さんのため)
ちょうど父の還暦のお祝いだったので赤で名前の一文字「松」って入れて。
その時、母にはリバティーの花柄を、
姉弟にもそれぞれ刺繍を入れてプレゼントをしたと思います。

KAME-b

—こちらのハンカチは珍しいですね。

ニューヨークの蚤の市で出会った古いハンカチです。
でもこういう縫製って
今swimmieでお願いしている
日本の縫製屋さんがもともと得意とされてた縫製で、
昔は輸出も多かったとお話を伺ったことがあるんです。
なので外国で買ったものではありますが
日本で作られた可能性もあるんじゃないかと思います。
アンティークなので出どころは定かではないですし
でもそういうのも素敵ですよね。
今ではなかなかないハンカチですし。

NY

—これはフレンチヘム※ですか?
※一時間に1ー2枚しか縫えない額縁のように縫われたもの
写真左

そうですね。swimmieやH TOKYOで扱っているのとは少し違いますが、
これは結構薄くて小さいハンカチですよね。
たぶん、実用というよりは見せハンカチだったんだろうなと思います。
以前、縫製屋さんにお話を伺った時におっしゃっていたんですが
昔はプリントの技術がなかったので
そうなるとどれだけカットワークなどの縫製で魅せられるか、
遊べるかというところで、
小さな布に今とはまた違ったたくさんの技術が詰め込まれていたようです。
芸術品というか今のハンカチの使い方や立ち位置とはまたちょっと
違ったのかもしれないですね。
もう一度こういうハンカチがswimmieで作れたらいいなと思っているので、
資料のためにも趣味としても集めているところです。

—素敵ですね。ぜひ今の時代にもう一度見たいです。

そうですよね。
ハンカチは実用的なだけではなくていいのかなと思うんです。
そのハンカチを持っていることで気持ちがあがるというか。
昔のように着物を着て所作が柔らかいというわけではないですし、
パンツを履いて颯爽と歩く女性の美しさもあると思うのですが、
「膝に広げる」などのちょっとしたことが
日本人らしい女性らしさにも繋がるんじゃないかなと。
私はがさつな方なので
食事の時に膝にかけたりなどしていると
自然と身のこなしも女性らしくなり、
きちんとしているように見えるんじゃないかと思って 笑
あとはハンカチに関わるようになってからは
ないと本当に落ち着かなくなりました。
なので、一種の安定剤でもあります 笑

—これはどこのハンカチですか?

確かフィンランドとベルギーの蚤の市で買いました。
でもプリントもされているのでそこまで
古くはないのではないかと思います。
織りのある生地にプリントがされているんです。
こんなレトロシリーズが作れたら楽しそうだな!って考えている一つです。

FB

—手巻きのハンカチもあるんですね。すごく薄いですね!

そうなんです!薄いですよね。
それに比べるとH TOKYOやswimmieのハンカチは厚地に感じますよね。
これはどこで縫製していたのかなーとか
どこで売っていたんだろーとか
想像を膨らませるのも楽しいです。
外国に行ってもやっぱりハンカチを探してしまいます 笑

—サイズもかわいいサイズですね。

お店でも特にご年配の方には
「ハンカチが大きいですね」と
ご意見をいただくことがあるのですが、
私たちの中では45cmくらいを
スタンダードサイズとしていますが
昔はもっと小さくて、
いつの間にか実用的に大きくなっていったのかもしれないですね。

—これは懐かしい感じのするハンカチですね。

私もみなさまにインタビューする際に
「子供の時はどんなハンカチを使っていましたか?」と
伺うんですけど、
意外にみなさま、ちゃんとエピソードがあって驚いてしまうんです 笑
私は記憶がなくって・・・。
どうしようかなって思っていた時に
洗濯物でこれが干してあったんです!
初めて見るものでしたし、タイミング的にもとても驚きました。
これは祖母の文字なんですけど、
姉が幼いときに使っていたものなんじゃないかなと。
きっと私もこんな感じのハンカチを持っていたのではないかと思います。

—ハンカチのこだわりはありますか?

昔は単純に柄の好みで選んでいました。
基本H TOKYOで扱っている生地は
いい生地ばかりですし
その中でもたくさん見ているので
価格に対しての質や貴重性をさらにみるようになりました。
吸水性がいいとか肌触りや縫製の仕方とか。
ハンカチだったら一番はリネンが好きですね。
あまりアイロンをかけるのが好きじゃなくて
洗いざらしのふわふわ感が好きだったりするので
リネンはすごくいいです。

—好きなハンカチの使い方はありますか?

ハンカチを使ったアレンジはたくさんしますね。
好きな使い方とは少し違いますが、
安定剤なので、外出するときは必ず持っていくのですが、
歯医者さんに行くときはとくにですね。
お供というか戦友を念入りに選びますね。
今日は頼むよって感じで。
ハンカチを握りしめています 笑
今はティッシュをくれる歯医者さんも多いと思いますが、
歯医者さんに行く時は昔から「ハンカチを持って行きなさい」
って言われていましたよね。
あとは先日、親知らずを抜いたときに
ほっぺが信じられないくらい腫れてしまって重かったんです。
そのときに顎から頭の上の方にハンカチを巻いて支えに使っていました。
ギャグ漫画でみるようなこんな使い方を本当にするんだなって 笑

—ありがとうございました。
後半はH TOKYOで働きはじめたきっかけから
swimmieのディレクターとなり、現在までの話を聞きました。
ぜひお楽しみに。

私の好きなハンカチ

一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、
ハンカチにまつわることを、H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、
お伺いしていきます。

20人目はswimmieでハンカチを作らせていただいている西山景子さんです。
西山さんは現在、ロンドン在住6年目。
テキスタイル/ファッションデザイナーとして活動をされていらっしゃいます。
日本にご帰国中のお忙しい中、インタビューさせていただき、
普段なかなかお伺いできない興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。

毎回インタビューをさせていただくと、
その方のいろいろな面を垣間みることができて
それがとても魅力的でどんどんファンになってしまいます。
作品をつくる人が魅力的だからこそなんですよね。

ハンカチを通してのインタビューですが、
みなさまにも少しでもお伝えできるとうれしいです。

a-1

—お持ちいただいたハンカチはどんなハンカチですか?

小学生くらいから使っていたハンカチです。
お弁当を持っていく機会が多かったので、
持ち物の一貫としてかわいいもの持っていきたいという
幼子心に母が応えてくれた物だと思います。
おもにお弁当包みとランチョンマットとして中高生くらいまで使っていました。

—GAPのものなんですね。ふわっとやわらかくて生地感もとてもいいですね。

GAPが日本に上陸したての頃に、子供服がかわいくて
手軽に購入できるということで結構見ていたんです。
母が百貨店に勤めていたこともあり、
子供ながらにいろいろな洋服に触れる機会が多かったんです。
「made in Italy」ってタグが付いてますね。GAPなのに 笑

b

—そうですね!アメリカかと思いきや…

これは特別なハンカチでしたね。
普段は小さなタオルハンカチを使っていました。

c

—今はどうですか?
日本に帰ってくると、タオル地が好きなのでそういうものを使っているのですが、
ロンドンにいると、ハンカチ使う機会がなくて持ち歩くことがないです。
気候的にも汗を掻くということはないですし…

—ロンドンの方はあまりハンカチを使われないのですか?

サラリーマン風の男性がハンカチで鼻をかんでいるイメージがありますね。
女性は…スカーフになってしまうかもですが、
バッグに結わえたりですとか、ファッション的な要素が多いですね。
どちらかというと男性の方がハンカチを使っているイメージがあります。
汗を掻くようなスポーツをするときはタオルを使いますし。
日本に戻ってくると、女性がハンカチを使っているのを見ることが多いので
そういうしなやかで上品なところを、日本人として忘れたくないなと思います。

—そうですね。今は日本でもお手洗いにドライヤーやペーパーがあったり、
レストランではナプキンがある場所が多いので、困らないですよね。
たしかにそういう細やかなところが日本人的な美しさを感じますよね。

—ちなみにハンカチは何枚お持ちですか?

数えたことはないのですが、たぶん10枚くらいですかね。
小さいころはもっと持っていました。
小さい頃は毎日持っていた記憶があります。

こういう話をすると暗い子…みたいな感じがするのですが 笑
ひとりっ子だったので、小さい頃は人見知りをすることもあって、
お友達ももちろんいたのですが、
たまにおウチが恋しくなって、寂しくなったりすると
家庭の匂いがするハンカチをかいでおウチを思い出したりしていました。
ハンカチをもっていると安心するというようなうっすらとした記憶があります。

—swimmie銀座店のオープニングの際に西山さんのご両親に
ご来店いただきましたが、おふたりともとてもおしゃれで素敵なご両親でした。
その際、西山さんのハンカチをご購入いただいたのですが、
お使いいただいていらっしゃいますか?

たぶんおめかしをして行ってくれたんですね 笑
ハンカチは使ってくれていると思います。
実家にはハンカチボックスがあって、
私と母はわりとタオル地のものが好きで共用しているのですが、
父は私たちとは別にかごバッグにメンズ用のハンカチを入れて、
その日の気分や洋服に合わせて選んでいるようです。

—やっぱりおしゃれですね!
西山さんは東京出身で都会っ子ですよね。
田舎育ちの私には想像がつかないのですが、どんな環境で育たれたんですか?

両親とも絵が好きで、どこかでかけるというと
美術館に連れていってもらうことが多かったです。
私が生まれる前に亡くなった祖父が画家だったのですが、
幼い頃に私の面倒を見てくれていた祖母や叔母からは
「あなたは画家になれるかもね」と褒められるのがうれしかったのもあって
不思議と絵を描く習慣がつきましたね。
自分は絵描きになると小さい頃はみんなに言っていたんです。

—そうなのですね!
そこからどんな風にファッションにも興味をもたれたのですか?

今でも覚えているんですが、
小学2年生のときに将来の夢を書く機会があって
そのときに友人に「絵描きさんは食べていけないよ」って
言われたんです 笑
それで、んんーと悩んで…
その時にクラスメイトで飛び抜けて周りの子とは違う
とてもおしゃれな子がいたんです。
輸入物の原色系のものとかも着ていて。
それと、小学生向けの雑誌のファッションページに
篠山紀信さんが撮影した写真が掲載されていたのをみて、
そういうことにどんどん影響されていくようになりました。
毎日学校に着ていく服を自分でコーディネートして行くようになって、
そうだ!デザイナーになろうって思ったんです。
今となっては、デザイナーも大変なのですが…笑

—小学生って結構現実的なところがありますよね…笑
でも、今実際に絵を描いてテキスタイルにして、
デザインをされていらっしゃって、
どちらの夢もかなっていらっしゃいますね!
どのようにファッションは学ばれたのですか?

女子美術大学のファッション造形科に進んだのですが、(今はない科だそうです)
そこでは染色、織りなどのテキスタイルから小物の制作までを一通り学び
アート寄りのコンセプト重視の作品をつくったりしていました。
どうしてその服をつくったのかということをとても求められました。
その中で図書館に通いつめてコンセプトから作り上げた経験があって、
そういった意味を込めた服を作りたい、
もっと突き詰めたいという思いが膨らみました。
ロンドンの学校に決めたのは、
コンセプトを突き詰める教え方をする学校が多かったのと、
気づいたら女子美時代に作っていた作品が中世ヨーロッパで、
イギリスの文化に影響されたものが多かったこともありました。
日本は服を作り込む知識はすごく勉強できると思うのですが、
そういった実績を元にもうちょっとクリエイティヴな自分らしいアイディアを
服に落とし込むにはどうしたらいいかというようなことを
一年間学ばせていただきました。
そこで帰ってくる予定だったのですが、
どうしても自分の集大成のコレクションを達成して
ロンドンで働きたいと思いが強くなり、
お願いをして大学院に行かせて貰いました。
テキスタイルは独学で、ブランドにテキスタイルを含めることは
考えていなかったのですが、卒業制作で運良く、
ロンドンのファッションウィークに参加させていただき、
その時にテキスタイルを注目していただけて、今のカタチになりました。
まだまだ突き詰めなければと思っています。

—ブランドのコンセプトである「驚異の部屋」に行き着いたのは
どういう経緯なのですか?

大学院でコンセプトからすべてリサーチして、
ひとつのブランドのコレクションに突き詰める課題だったんですが、
その時にイギリスの風景庭園をテーマとして選び、
そこからいろいろ突き詰めていったときに
いろいろな国から輸入してきたものを集めて
保存する文化があることに気づかされました。
16,17世紀、特に大航海時代と呼ばれる時代に、
ヨーロッパを中心に探検家がいろいろな国の見たこともないものを発見し、
収集してきたものを小さな部屋に保存していたそうです。
その中には植物、絵画、民芸品、剥製、楽器
沢山の見た事もの無い物が収集されていたようです。
その中のひとつに植物もあり、植物や花々をイギリスの土地に植えなおし、
改良して、独自の庭園に仕上げたキューガーデンや
押花や種を標本にして何百冊と貯蔵している自然史博物館が今でも鑑賞できます。
専門家の人しか中に入ることができないところもあるのですが、
それでも自然史博物館の図書館には貴重な200年前の手描きの標本があって
とても刺激になりました。

世界中から集めて来た不可思議な物は実際にはオリジナルではなく、
研究過程を経て作り替えたもので、
自然物だけれども人工物で、美しさの中に奇妙さや、
皮肉めいたものを持っていることに魅力を感じました。
花ならば花、鳥ならば鳥、というイメージを作るのではなくて、
私なりに作り替えたものをテキスタイルで表現しよう思うようになりました。

—西山さんが人工物を作り上げて、驚異の部屋をつくるということなんですね!
具体的にはどのようにして作られているのですか?

まずは図鑑などの資料から、いろいろな部位を切り抜いてコラージュして
不思議な空想の図鑑みたいなものをつくるんです。
なので、ほんとに怖い感じのものがあったりもします。
そしてそのコラージュを自分で描きなおします。

—ハンカチを制作する際に、データで見せていただいたのですが、
本当に緻密で繊細で不思議で美しくて…どんどん引込まれていきました。
拡大をして、じっくり眺めたり…これはある意味、私の特権ですね。
こんなことをいってしまうのは元も子もないことなんですが、
布にプリントすると繊細がゆえにどうしても
表現できない部分がでてきてしまうのが悔しく感じてしまいました。
この凄さをみんなに見てほしいー!という気持ちです。
このような緻密で繊細な画風は昔からなんですか?

標本をみるようになってからですね。
かなりの時間を学生時代は費やしていましたね。
空想でもリアルに描きたいというところがあります。

—その空想の図鑑のものたちには名前が付いているんですか?

それも最終目標のひとつですね。
最初の頃につくった花とキノコには名前がついているのですが、
学名などを調べて適した名前をつけるのもかなり忍耐力のいる大変な作業で…

—名前が付いているものもあるんですね!
西山さんの空想図鑑にとてもとても興味があります。
いつか拝見させていただきたいです。

—ちなみに今日のお召し物は西山さんのデザインですか?

スカートは古着で、上は実は小学生の時に着ていたものなんです 笑
すごくおっきい小学生で今と身長が1cmくらいしか変わらなかったんです。
小学生のときは背が低い人が腰に手をあてるポーズがうらやましかったんですが、
中学生からどんどんみんなに背を越されていくのはショックでしたね 笑

—えーーー!笑
違うかなとは思ったのですが、花柄だったので一応聞いてみたのですが、
まさかのお答えでした。

—H TOKYO/swimmieを知ったきっかけは何ですか?

H TOKYOでハンカチをつくられている赤塚桂子さんに紹介していただきました。
赤塚さんとは私が大学生の時に友人が赤塚さんの事務所で
アルバイトをしていたことがきっかけで知り合いました。
それから時間が経ち、私がロンドンにいることもあり、
なかなかお会いする機会がなく、
SNS上で連絡をとったりしてはいたのですが、
ようやく久々にお会いしたときにH TOKYOのことを聞きました。

—ハンカチのデザインはどのように考えていただいたのですか?

最初はH TOKYOをご紹介いただいていたので、
「Equatorial Camouflage」は男性向けを意識して考えた柄です。
ダークなカラーでトーンをおとしているのと
その時トレンドだったカモフラージュっぽく仕上げました。

Equatorial Camoflauge

「herbarium garland」は花というテーマをいただいたので、
四角形をどう生かすかということを考えて
花畑にいるような雰囲気につくりたいなと思いました。
最終的なイメージはタイトルの通り花冠になりました。

herbarium garland

—今後はどんな展開をされていくのですか?

3月にはパリでのコレクションを控えています。
最終的にはライフスタイルも含めたブランドにしていきたいので、
カップとかクッションとかライフスタイルの小物系も挑戦したいと思っています。
小さくてもいいので商品を直接手にとっていただける
衣食住が体感できるようなお店も作れたらいいなと思います。
洋服にしろクッションにしろ集めていくと
ひとつの驚異の部屋の博物館になればいいなと思います。

—西山さんの「驚異の部屋」に興味津々です!
これからも楽しみにしています。
ありがとうございました!

西山景子
テキスタイルデザイナー/ファッションデザイナー
東京生まれ
2008年女子美術大学ファッション造形科卒業後、アシスタントデザイナーを経て、
2013年2月ロンドンファッションウイークにてコレクション発表。
同年ロンドンカレッジオブファッション ファッションテクノロジー科修士課程修了。
現在ロンドンと東京を拠点にKEIKO NISHIYAMAとしてブランドを立ち上げ、
キャビネットオブキュリオーシティ(驚異の部屋)をテーマにコレクションを発表、活動中。

僕の好きなハンカチ

一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、
ハンカチにまつわることを、H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、
お伺いしていきます。

今回は5年ほど前からH TOKYO、swimmieのハンカチを置いていただいている
島根・出雲の眼鏡店「シマネヤ」の飯島健太さんです。

飯島さんは本当に丁寧にハンカチを勉強して販売してくださり、
とてもとてもありがたい存在です。
そんな飯島さんご自身の歴史や好きなハンカチのこと、
「シマネヤ」のお店の歴史なども伺いました。

a

—お持ちいただいたハンカチの好きなところ、
オススメのポイントは何ですか?

うちで一番出ているのでもいいですか?
それはもちろん「izumonesia」シリーズです。

b

—「izumonesia」シリーズの中ですと何が一番人気ですか?

一番は「saniwasimenawa」で次は「ryunohige」です。
これがダントツ人気です。
izumoneshia以外だと朝倉さんのシリーズですね。
個人的にすきなのは、最近リネンが気に入っています。
今年からリネンの良さが分かる大人になりました。

—リネンをすきになるきっかけはありますか?

カミさんが「リネン最高!」って使っていて
使ってみたら濡れていてポケットに入れてもすぐ乾きますし、
使い勝手が本当によかったです。

c

—今日はご自身がお使いのハンカチもたくさんお持ちいただいて
ありがとうございます!

はい。これはうちのお店で取り扱う前に
オンラインショップで初めて買ったものです。

d

※上が新品のハンカチ。下が飯島さんが使い込んでくださったハンカチ

—ハンカチにアイロンがきちんとかかっていますね!

アイロンは必ずかけますよ。
「洗濯王子のアイロン術」っていう本を買いましたから。
シャツもかけますよ。

e

—さすが眼鏡屋さん眼鏡柄も多いですね。

眼鏡柄は鉄板です。
このハンカチは眼鏡マニア受けがいいですね。
本当にヨーロッパにありそうなデザインがたくさんのっているんですよ。
だから同業者で眼鏡柄のハンカチが出たら
買っていく人がいるんですが「これすごいですね」って言ってました。
その人はヨーロッパの眼鏡を結構多く扱っている人なので。
でも自分の分は1枚確保したいので
お客さんに出す前に買ってしまっています 笑

—眼鏡ハンカチの中で一番気に入っているのは
このマニアックな眼鏡ハンカチですか?

そうですね。特に眼鏡業界の人に会ったりするときは
これを持って行きますね。

f

—わたしたちも飯島さんの眼鏡ハンカチを見て
こんなにいろいろ作っていたんだなと実感しました。

お店に買い付けに伺って「見つけた!」と思っても
もう数枚しかないこともありますからね。

—それ以来眼鏡柄が入ったら飯島さん用にキープしてます。

ありがとうございます。

—今日のハンカチはritokeiの船ハンカチですね。
これは飯島さんのハンカチコレクションの中では変わり種ですか?

これはね「フェリーおき」がのってるんですよ。島根のなので。
やっぱりなんとなく人に見せたくなるんです
「ほらほら」って 笑

g

—見せたくなるんですね!

そうです。なので基本リネンとかは
そういう要素がないので柄物を多く使っていたんですが
最近は見せびらかすと言うよりは実用的な部分で
ハンカチを選んでいます。

—H TOKYOを知ったきっかけはなんでしょうか?

たまたま有田さん ※が出雲をイメージしたデザインハンカチを
リリースしたと言う話が新聞記事にのっていたんです。
「izumonesia」をそこで知ってじゃあ買ってみようかって
自分のとカミさんのと母親のと、3枚注文したんです。
それでかわいいけんうちでも販売できないかねって
メールさせてもらってそこからうちでもハンカチを置いています。
※有田昌史さん 以前のインタビュー記事はこちら

—もう長いお付き合いをしてくださっていますね。

確か平成23年だったと思います。

—5年くらいお付き合いいただいてありがたいです。
実際にお店にも行かせていただいて
こんなにハンカチがたくさんあるなんて!と感激しました。

異常ですよね 笑
最初は10種類くらいからスタートして
ストックもそんなに枚数はなかったんですけど。
遷宮の年が本当にすごくて一番多い時は
ひと月に150~180枚は売れてましたね。

h-2

※H TOKYOとswimmieも展開してくださっています。

—うちの入りたてのスタッフよりもハンカチのことや作家さんのことも
すごく勉強してくださって感謝しています。

いえいえ。
でも生地も奥深すぎて今は少し諦めていますけど。

—それにシマネヤさんが定期的に出している
新聞にもよく載せていただいて。

毎回確実に載せています。

—ハンカチを使う時のこだわりはありますか?

アイロンはほぼ必ずかけます。
カミさんはアイロンせずに持って出かけますけど。
僕はアイロンかけたい派なので。

—アイロンは昔から好きなんですか?

どうでしょうねえ・・・
でもかけなきゃいけないシャツとかはかけてましたね。
だけん、あんまり苦ではないんですよ。
まあピシッとしていた方が気持ちいいですから。

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—今日来ていらっしゃるシャツもすごく綺麗ですね!

ありがとうございます。
これもアイロンはあてています。

—アイロン上手ですね。

男の人の方が細かいんですよ。
多分そういうことは向いているんだと思います。
アイロンをかける時のこだわりはないんですが
いつも同じ面が出るとそこだけが色褪せてしまうので
できるだけ違う面が出るように心がけています。
今日はここに持ってくるかと思って
タグが1枚めくったここにくるH TOKYOのスタンダードスタイルで
アイロンをあててきましたが
いつもは変えるようにしています。
神経質ですよね 笑

—好きなハンカチの使い方はありますか?

いや、ただポケットに入れることですかね 笑

—その日のハンカチはどんな風に選びますか?

普通はそんなにこだわらないです。
眼鏡の展示会や商談に行く時は必ず眼鏡柄を
持つようにしています。
歩き回って汗をかいた時に眼鏡のハンカチを出すと
話も広がりますし。

—ハンカチは昔から持っていらっしゃいますか?

いやーもらいもんばっかりでしたね。
無頓着には持っていました。
まともに初めて持ったのは就職活動の時くらいでしたね。
スーツ着たのがその時初めてでしたから。
それまでは「男の子がハンカチなんか持って・・・」って 笑

—小さい頃に持っていた記憶はありますか?

ありますよ。
それこそハンカチちり紙は持つようにと学校から
言われていましたから。
持っていなければならないものの
持ち物検査もあったかもしれませんね。

—そのハンカチの柄は覚えていますか?

白しかなかったと思います。
みんな白じゃなかったですかね。
40年前に柄のハンカチなんてなかったと思いますけど。
周り見てもみんな白だった記憶があります。

—就職活動をする際に持ったハンカチは
ご自身で買いに行ったのですか?

いえ。その時の彼女が買ってくれたんですよ。
「これを持ちなさい」と何枚か。

—素敵な彼女ですね!

はい。おしゃれさんでしたね。
今思うと就職活動にしては結構カジュアルな
ハンカチをくれました。
でもハンカチには別れに意味があるって
聞いたことがあるんですが
それは実際にあるんですか?

—そうですね。
涙を連想させたり日本では「手巾(てぎれ)」と言うこともあり
あまりプレゼントには向かないと
言われることもあります。

うちのカミさんのおばあちゃんは
人にハンカチあげる時には「10円ちょうだい!」って
言ってからあげてたらしいです。
カミさんにハンカチをあげる際も
「ハンカチあげるから10円ちょうだい」って言ってたそうです。
そうじゃないとお別れになっちゃうから
買ったことにしたら別れにならんって
おばあちゃんが言いよったとカミさんが言ってました。
おばあちゃんは若い時に上海におられたそうなので
もしかして中国の伝統なのかなって思ったんです。
なのでうちではカミさんにハンカチをあげると
「はい」って10円をくれるんですよ。
それはカミさん家だけなのかなーって思っていました。

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※奥様の佐保子さん。「10円の話はおばあちゃんのオリジナルかも。ちょっと変わった人なので」
とのことで出典は不明とのこと。

—それは素敵なお話ですね!
ちなみに飯島さんはずっと眼鏡屋さんなんですか?

いや、はじめは家具のメーカーに勤めていました。
基本は営業でした。
商社だったので一般家庭の家具というよりは
ホテルとかのベットや造作家具や椅子などを売っていましたね。

—そうだったんですね。学校で家具を学んでいらしたんですか?

いやいや。僕は英文学科だったので。
何も就職には役立たなかったです 笑
でも目に見えてわかるものがよかったんですよね。
例えば製鉄会社だと自分の目の前で製品になる
と言うのとは少し違うじゃないですか?
それにはあまりピンとこなくて家具屋にしたんです。
まあ・・激務でした。
時代的にもバブルが弾けて、ガクンと落ちて
リストラの嵐でしたし正直地獄でした。

—それは大変でしたね・・・。
その時はスーツを着ていらしてハンカチは持っていましたか?

一応持っていましたね。
やっぱりもらい物が多かったですけど
どんなハンカチだったかは思い出せないくらいです。
でも何かブランドの名前が入っているようなものです。

—家具屋さんの後はご実家の眼鏡屋さんを継がれたんですか?

いや家具屋に1年ほど勤めて、会社が福岡だったので
その後福岡の眼鏡屋に中途入社しました。

—眼鏡屋さんにお勤めになったのはやはりご実家の影響ですか?

飯:そうですね。家が眼鏡屋だったので。
その頃はまだ父親も生きていましたし
結局田舎に帰ってもしょうがないなあと思って
福岡のチェーン店の眼鏡屋に2年ほどいました。
その後東京の眼鏡屋に勤めながら眼鏡の学校に行っていました。

—学校にも行かれていたんですね。

そうなんです。眼鏡について学ぶ専門学校が
あったのでそこに行っていました。
そこで目の中の仕組みやレンズのことなどを学びました。
後は基本的な数学や物理、光学などですね。

—東京はどのあたりで働いていらしたんですか?

江東区にある砂町銀座商店街と言うところです。
いろんな人がいるざっくばらんな街で
飯を食う暇もないくらい忙しいお店でした。
ハンパない売れ方でしたね。
ここで本当にいろんな経験をさせてもらいました。
2年くらいここにいました。

—ちなみにその間もハンカチは持たれていましたか?

そうですね。基本的にスーツでしたので
持っていないわけはないと思うのですが。
ちょっと記憶はないです。

—その後島根に戻られたんですよね?
きっかけはなんだったんですか?

父親が倒れたからです。その時はもう継ぐつもりで
帰りました。

—シマネヤさんの歴史を伺ってもいいですか?

はい。祖父の代で始めました。
創業は東京の早稲田の弦巻町で1940年代始めくらいでした。
時計・眼鏡屋としてスタートしました。
その後戦争があって島根にUターンした形です。
もともと島根の出身だったのでお店の名前を「シマネヤ」
にしていたんです。

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※シマネヤさんは出雲大社のすぐ近くにあります。

—そこからは今と同じ場所でやってらっしゃるんですか?

そうですね。ちょっとだけ別の場所もありましたが
今の場所になってからは70年数年ですね。
父親が店を継いだので僕で3代目です。
僕が継いだのは20年ほど前です。

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※シマネヤさんのウィンドウにはたくさんのハンカチが飾られています。

—シマネヤさんを継がれてからはハンカチを持っていましたか?

いや・・・持っていないかもしれんです!

—そうなんですね 笑 では有田さんの記事を見てまた
ハンカチに興味が湧いてくださったんですね。

そうですね。そこからは必ず持っていますよ。

—H TOKYOのハンカチを持ってくださって何か
印象は変わりましたか?

ハンカチを持つだけで楽しいって思うようになりました。
すっごく個人的なものじゃないですか?
自分だけがテンションあがるけん
身勝手に楽しめますしいいなと思いましたね。

—以前デザイナーの赤塚桂子※さんにインタビューさせてもらった際に
飯島さんがおっしゃったようにハンカチは個人的なものなので
そのハンカチを借りた時にきゅんとしたと言うお話がありました。
※赤塚桂子さん 以前のインタビュー記事はこちら

そうですか!それは2枚持ち歩かないといけないですね。
ライブとかで泣いている女の子がいたらすっと出したいですね。
じゃあ今度お客様で男の子がきたら教えておきます。

—ハンカチは何枚くらいお持ちですか?

カミさんは3週間ぶんくらいはあると思うので20枚くらいですかね。
自分はそれよりちょっと少ないくらいです。
二人合わせると40枚〜50枚くらいかな。
ハンカチは兼用ではなく引き出しも別です。
カミさんはリネンだけでも1週間分くらいありそうです。
入荷したリネンの中で「これはいい?」って
先に買うこともあります。

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—奥さまもハンカチを毎日お使いなんですね。

そうですね。
カミさんは1日2枚とか持っているんじゃないですかね。
H TOKYOに出会うまではタオルハンカチ
ばかりでしたけど、今は見たことないです。

—飯島さんのハンカチコレクションの中でH TOKYOは
多いですか?

ほとんどですよ。5,6枚他のがあるかもしれませんけど
それは使わないゾーンですから。
ここ数年H TOKYO以外のは使ってないです。
でも使わないハンカチもなんか捨てられないんですよね・・・。

—ちなみにその使わないハンカチの中に
昔の彼女からもらったものはありますか?

いや実は今回探したんですよ 笑
でもなかったです。25年前ですからね。

—お母様もハンカチはお使いになられますか?

使ってますよ。ガーゼがほとんどだと思います。
買っているんですけど、自分のか誰かにあげるのか分からないです。
すぐ人にあげちゃうんで。

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※飯島さんのお母さま。シマネヤさんでは宝石を担当されています。
丁寧におもてなしをしてくださり、接客の勉強にもなりました。

—お父様も持っていらっしゃいましたか?

持っていたと思います。
なんとなく記憶に残っています。
たぶん出かける時はハンカチって言っていたように
思います。

—飯島さんにはライブを開催したり音楽という側面も
あると思うのですがそれは昔からですか?

ライブなどの企画を始めたのは島根に戻ってからで
16年ほど前からですね。
当時はあんまりライブハウスもなくて
アーティストを呼んだらきてくれたので
そこからは定期的に開催しています。
初めての企画はヒートウェイヴと言うバンドの山口洋さんでした。
交通費と泊まり代だけは出してくれと言う「歌の宅配便」という企画をやっていらして
高校の時から好きだったのでお声がけしました。
大学の時も大学祭の実行委員をやったり、自分でもバンドをやっていたので
なんとなく企画もすんなりできたんですよね。

—わたしたちも以前見せていただいた旧大社駅での
ライブは最高でした!

ありがとうございます。旧大社駅でのライヴをやり始めたのが10年前くらいで
その時に屋号を「大社レコード」にしたんです。
それからはコンスタントに開催しています。年に3本か4本くらいですかね。
ちょっとしんどいです 笑

昨年出演したいただいた寺尾紗穂さんはswimmieでハンカチを作っている
松井一平さんと一緒にライヴをやられたり、ツアーグッズの絵も松井一平さんが描かれていたりして、
あ、こんなところで自分の仕事ともつながってるというのがわかって面白いなと思いました。

まあ、ライブのことくらい眼鏡屋頑張らないとと思っていますけどね 笑
※松井一平さん 以前のインタビュー記事はこちら

—ハンカチにまつわる思い出はありますか?

去年イースタンユースの吉野さんのライブのあと
グレイの眼鏡柄のハンカチをなくして
打ち上げ会場で大騒ぎしていたら
その時のスタッフの子が見つけてくれて嬉しかったですね。
やっぱり眼鏡柄はちゃんと戻ってくるんだと 笑

※シマネヤ看板娘のむぎちゃん。お客様にも大変愛されていました。

ありがとうございました。
これからもぜひ長いお付き合いをしていただけたら嬉しいです。
島根にお出かけの際は
ぜひシマネヤさんにお立ち寄りください。

【取材のおまけ】
今回シマネヤさんにお邪魔して
美味しいごはんもご一緒させていただきました。
地域とのつながりや、人の暖かさを感じ
改めてお店とは?ということを考えました。
とても素敵なみなさんに出会えた旅になりました。

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※飯島ご夫妻とフレンチレストラン、トロントセットの野口ご夫妻。

飯島健太
1969年生まれ シマネヤ店主
眼鏡と犬とロックを愛するアラフィフ。
座右の銘は「Punk is attitude, not style.」

シマネヤ
http://shimaneyamegane.com
https://www.facebook.com/shimaneya/

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