一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、
ハンカチにまつわることを、
H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、お伺いしていきます。

6人目はテキスタイルデザイナー・氷室友里さんです。
swimmieで透けているように見える特殊なプリント加工を施したハンカチシリーズを
つくっていただいています。

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−−−お持ちいただいたハンカチのお気に入りポイントなど教えて下さい。

まずは、このおにぎりハンカチ、3種類です。
学生時代にcoccaのコンペに応募して受賞したハンカチです。
コンペの審査員だったのがアリタマサフミさんで、
そのときにいろいろお話をさせていただいたのですが、
ハンカチが好きだということをお伝えしたら、
ぜひH TOKYOのオーナーさんとお会いするといいといって、紹介して下さったんです。
なので、H TOKYOと繋がるきっかけとなったハンカチなんです。

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−−−そこでH TOKYOのことを知っていただいたんですね。

実はH TOKYOのことはアリタさんから紹介していただく前から知っていました。
ハンカチが好きだったので、H TOKYOはハンカチ専門店なので、絶対ひっかかりますよね。
その後、ハンカチ研究会にも参加させてもらったりもして、
今、こうやって関われていることがとてもうれしいんです。

−−−coccaのコンペ用に作ったハンカチなのですか?

もともとは学校の課題で、テーマが「JAPAN」だったのでそれを表現するのに、
ろうけつ染めとおむすびの組み合わせがいいなと思って作ったんです。
丁度、coccaのコンペのテーマも「JAPAN」だったんです。
商品化すると考えるとろうけつ染めではむずかしいので、プリントでデザインをし直しました。
米粒もひとつひとつを描いていて、手が腱鞘炎になるかと思いました 笑
鉛筆の質感を出したかったので筆圧にも気をつかいましたね。
一週間以上、米粒をひたすら描いてました。
大学生だったんで時間があったんです。

コンペのときに、もう一つアリタさんに見ていただいたのが、
このオパール加工と転写プリントを使った透けて見えるハンカチです。
元々は学校の課題で作ったカーテン用の生地だったので、
窓から覗いている世界をどうしても出したかったんです。
ボルダリングと山登りのリフトの図案です。

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在学中にYUSE DESIGNというユニットで活動をしていて、そこから出したハンカチなんです。
その時は一枚一枚自作していました…
このハンカチは気に入ってはいただけたのですが、H TOKYOでは天然素材にこだわっているので、
このままではH TOKYOでは販売できないということだったんです。
その数年後に似たような加工ができる技術が開発されたとお話をいただいて、
現在、swimmieから出ている透明プリントのシリーズが生まれました。

−−−在学中からいろいろ活動をされていたんですね。

そうですね。
YUSE DESIGNはグラフィックデザイン科の友人と組んでいたので、
テキスタイル以外の付箋なんかも作っていました。
ベーコンやきゅうり、たまねぎがそのままのカタチをしていて、
ノートで挟むとサンドウィッチになるいう付箋だったんです。
Sandwich Tagという名前で一時Amazonとかで販売もしていたんです。
何を思ったか、学生の時は大学を卒業したらフリーで活動をしたい!と思っていたんです。
それで、在学中にどれだけ自分の実績がつくれるかみたいなものを考えて
商品をつくったり、コンペに出したりしていたんです。

−−−本当に意欲的で素晴らしいですね。

大学時代は設備を使いたい放題で、自分ががんばれば何でもできるので、
原価とかも考えず、面白いものがたくさん作れたなと思います。
思いついたらすぐできる、スピード感や納得がいくところまで研究ができたり。
もどりたいなーとも思います 笑

−−−そもそもハンカチのどういうところが好きなんですか?

これくらいのサイズ感でいろいろ持てて、
自分にとってオモチャじゃないんですが、
洋服とはちがって自分の本当に好きなものを持てる気がしていて、
そういう自由さが楽しいので好きなんですよね。
実は大学生のときに一時期、女性に向けたブランドハンカチブランドを作りたいと思っていたんです。
洋服とはまた違って、似合うかとかマナーとは関係なく、
自分の気分で選べる、一番感情に近い部分というか…
自分がハンカチを選ぶ時は今日一日どう過ごそうか考えて選ぶことが多いんです。
そういう選び方ってすごく楽しいし、そういう選び方を人に提案したいと考えていたんです。
感情をテーマに、いろいろな色や雰囲気のハンカチを揃えて
選び方を含めて提案するということをやりたかったんです。
今、株式会社スマイルズで働いているんですが、
その面接のときにスマイルズでやりたい事業として
ハンカチブランドの企画書をを自主的に持って行ったんです。
「私はこの会社でハンカチブランドを立ち上げます!」といって入社しました。
その企画書と一緒にサンプルとして持って行ったのがこの赤いハンカチです。
これは、手染めをしたのですが、元気にいきたい時に持つハンカチです。

もう一枚は友人の作家・いとうりえこさんのハンカチなんですが、
気持ちに訴えかけてくる、にじみや色合いが好きで、
これはやさしい気分になりたいときに持ちたいハンカチです。
これも気に入っていてよく使っています。

−−−え?!ハンカチブランドが立ち上がるんですか?

いえいえ 笑
それを考えていたときはまだswimmieはなくて、swimmieが立ち上がったときに、
私がやりたいなって思ってたことをやってくれたと思ったんです。
なので、今はswimmieに関われてたら十分だと思っているので新しく作る必要はないと思っています。

−−−swimmieのことをそんな風に思っていただいていたなんて…
うれしいです!精進します。

−−−最後のハンカチはどんなハンカチですか?

猪熊弦一郎さんのハンカチです。
猪熊さんの絵がすごく好きで、個展のグッズコーナーですごく気に入って買ったハンカチです。
薄い生地感もキレイで、THE女性が持つハンカチだと思いました。
その1,2年後に、会社の後輩から「氷室さん絶対好きだと思って!」と、
色違いをプレゼントをしてもらって2枚あります。

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−−−ハンカチのこだわりはありますか?

モノとしては何でもウエルカムで、かわいいものを見つけたら買いますし、
ハンカチを好きと公言しているのでもらうことも多いです。
選ぶときにその日の自分の気持ちに合わせて選ぶことにこだわっていますね。
作るときは自分の作品の一環としてハンカチも考えているので、
作品を作るときは、常にポジティブだったり楽しい気持ちになってほしいと思って
デザインをしています。

−−−いつ頃からハンカチが好きなんですか?

小さい頃から女の人がハンカチをさっと出す姿に憧れていて、
「大人~」「すごい綺麗~」って思っていたんです。
そういうシーンが好きでよく覚えていています。
ハンカチ自体が好きというより「大人の女性=ハンカチ」で、憧れの気持ちが強かったです。
今でも、女性がハンカチを取り出す姿は自然と見てしまします。
大学でテキスタイルを学ぶようになって
このサイズ感で表現できるというのがすごいいいなというのもあって、
徐々に好きな気持ちが膨らんでいきました。

−−−ちなみにハンカチは何枚お持ちですか?

使っているのは30~40枚くらいですね。
実家に置いてあるのもいれると100枚くらいはありそうです。
今は、自分で作ったものをよく持ち歩いているので、
そのローテーションで使っていますね。
たまに、滅多に出さないものを使ってみたりしたくなります。

−−−好きな使い方はありますか?

使い方ではないですが、机の上に出しておくのが好きです。
会社に着いたらまずバッグの中からいろいろなものを机に出すのですが、
ハンカチもその一つです。
引き出しの中やポケットではなくて、机の上がいいんです。
あまり深く考えたことはなかったのですが、
見えるところに色があるからいいんですかね 笑

−−−これからもハンカチ好きによるハンカチのためのデザインを楽しみにしています。
ありがとうございました。

 

YURI HIMURO 氷室友里
テキスタイルデザイナー・アーティスト。
日本とフィンランドでテキスタイルを学び、ハサミでカットして柄をアレンジできる生地や、裏と表で柄が変化するリバーシブルの生地など、オリジナルファブリックづくりを行っている。
2月6日7日 京都布博、3月5日6日 東京布博 に出展予定。