一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、
ハンカチにまつわることを、H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、
お伺いしていきます。
10人目は画家・松井一平さんです。
3月末にオープンをしたswimmie銀座店限定ハンカチなど、
swimmieで数々の魅力的なハンカチをつくってくださっています。
ハンカチがどんな風にうまれているのか制作の背景や
ハンカチ少年だった頃の話をお伺いしていきます。
ーーー松井さんと初めてハンカチ制作の打ち合わせをさせていただいたときに、
「小さいころのおねだりはハンカチだったんです」とお伺いしたのが
ものすごく印象的で、運命だ、なんて感じたんです。
小学1-3年生くらいのときに意識的に集めていたんです。
デパートなんかに行くと、すぐハンカチ売場にいっていましたね。
親に買ってもらうもので、一番欲しいものがハンカチだったんです。
ーーーわ!どうしてハンカチだったんですか?
きっかけも、どうしてかも覚えていなくて…
でもとにかくこだわっていたんですよね。
絵や柄が布に印刷されている様が好きだったのかもしれないです。
ーーーどんなハンカチを集めていたのですか?
子供用ではなくて大人用のハンカチで、
柄はチェックが多かったような気もします。
チェックが大人っぽくてかっこいいと思っていたんだと思います。
似たようなチェックばかり集めてました。線の幅が違うだけとか。
水玉も好きでしたね。
ーーーどんな使い方をしていたのですか?
手を拭くくらいでしたね。
実際に使うのは、一部のハンカチだけで…
あとは引き出しに入れて保管していました。
たまに出して来て並べて見て楽しむ、みたいな嗜み方です。
レア盤のレコードを聴くわけでもなく
何種類も集めている人と同じような感じですかね。
ーーー持ち歩くときはポケットに入れていたのですか?
ポケットが膨らむのが小さいころからあまり好きじゃないんです。
カバンに入れて、使うときに出して、乾かしてからまたカバンに戻してました。
拭いた後に、じとっとしたハンカチをポケットやカバンに入れるのが
いやなんです…潔癖ということじゃなくて、
他のものに水分が浸透していくような感じがいやで…
いまだにそういうところは変わってないですね。
今もビニールの袋にいれてからカバンに入れたりします。
なので、カバンの中はいろいろなものを小分けにしがちで
ビニール袋が多いですね 笑
ーーーそのハンカチコレクションは今もありますか?
タンス2段分くらいにまでに集まってしまって、
使わない状態が続いたので、処分するよと家族に言われたので
それならと絵を描くときのウエスにして全うしました。
あんなに小さいころにこだわっていたのに、
そのこだわりがいつの間にかなくなったんですよね。
ーーー収集癖があったりするのですか?
集めてる意識はないんですが、
とくに価値があるわけじゃないものをなんとなくとっておいたら、
いつのまにかコレクションみたいになってしまうことが多いです。
新聞の切り抜きとか、小分けにつかってるレコード屋のビニール袋とか
気になった紙や布や封筒、空き箱とか…。
ーーー小さいころにこだわっていたハンカチを
今はどのように感じたり考えたりしていますか?
小さいころに比べたらこだわりがなくなってしまって…
今はハンカチを忘れてしまっても、トイレにはエアタオルがあったりして、
ハンカチがなくてもわりといけてしまう時代になりましたよね。
それってアナログレコードみたいな感じがありますよね。
絶対ないとダメってことでもなくて、でもハンカチがあるとおもしろい。
エアタオルが発展したおかげで、
ハンカチは拭くだけのものじゃないっていう
新たな時代というか価値ができたのかもしれないですね。
そういう意味でおもしろいことができるんじゃないかって思います。
アナログの強さがある気がします。なんとなく。
ーーー「なつのぜんぶ」ハンカチ以外はswimmieのハンカチ用に
描きおろしていただきましたが、どんなことを思いながらつくったのですか?
swimmieのコンセプトにあるようなハンカチの可能性をきいて、
平面だけがハンカチのおもしろさではなくて、
縛ったり、ねじったりしてみえてくる柄のおもしろさというのに
刺激されるものがあって、そういうハンカチのおもしろさがでるように、
全面に絵がひいてあって、
でてくる面がどこになってもおもしろく見えるようにつくっています。
ハンカチに限らず、ものをつくるときは、
こういうものが世の中にあったらなぁというものを
選び取ってつくっていくことが多いように思います…オブジェですとか。
確実に世の中のために必要か?といわれると、
そうでもないものが自分にとって大切で。
なかなか一言では言えませんが。普段からそのあたりのことを考えています。
今回も特にハンカチと意識しすぎないで、オブジェのような感覚で制作しました。
どんどんねじったりしてもらいたいです。
ーーーswimmieではハンカチをつかったアレンジ方法もご提案しているのですが、
例えば1枚のハンカチを結んでつくるブレスレットや
2枚のハンカチを結んでつくるネックレスなど
結び具合によって見えてくる柄が変わるので、
毎回違った表情がみれるのも楽しさの一つだと思います。
そうですね、僕のハンカチを手にした人で、
その人なりにアレンジをして身につけたりしているのをみると
自分でもあたらしい発見があってハッとさせられます。
手を離れて、他人のオブジェになっていくのがうれしいです。
ーーー銀座店限定のハンカチを依頼させていただいたとき、
松井さんのイメージする銀座を描いてくださいとお願いしましたが、
どんなイメージでしたか?
「銀座」というお題だったんですが、ひとまず「銀座」はおいておいて 笑
飛び込んで次の世界に入っていくというイメージがわいてきて、
それを頭の中で転がしているうちに、
プールのイメージみたいなものが浮かんできたんです。
プールの高い飛び込み台から飛び込むときに見える、瞬間の景色。
しっかり全部をみわたしている景色ではなく、
プールのまわりに生えている草なんかが一瞬にしてまぶたの裏にのこるような、
そんな一瞬の記憶のイメージです。
それで「飛び込み台」って英語でなんていうんだろうと気になって、
辞書で調べたら「springboard」で
「きっかけをあたえるもの、出発点」という意味だったんです。
銀座店のオープンにも合致するし、奇跡的にも偶然つながって、
もどってこれたという感じです 笑
ーーー絵を描くときは、いつもそのような感じでイメージをするんですか?
そうですね、「ことば」を結構重要としていて、
頭の中で何日かぼーっと転がしたりして組み立てているんです。
「ことば」からイメージを受けることは結構おおくて、
でもあまり説明的になりすぎるのはあまり好きではないので、
感覚的なものの方を大事にしています。
感覚と思考したことが合致するポイントを、あまり触りすぎない程度に。
説明をしないでも、見ただけでなんか感じるようなものが好きです。
今回のようにお題があることは、ある意味興奮することですし、
刺激があるので化学反応がおきます。
お題がなかったら、たぶん描かなかった絵だと思います。
人と関わる上で、そこが創作のキッカケになることがありますし
とてもうれしいことです。
ーーーありがとうございました。
松井一平
1975年愛知県出身、神奈川県在住。
作品形態を問わず制作している。
レコード・CDジャケットや書籍などの装画も手掛け、多くの個展も開く。
またTEASI、BREAKfAST、わすれろ草、LOCH NESSなどのメンバーとして
音楽活動もしている。
松井さんが手掛けたハンカチ///
白鳥 ISLAND なつのぜんぶ Springboard *swimmie銀座店限定